「コンビニ人間」を読んで
ずっと気になっていたこの本。
やっと読みました。文体が大きく、気軽に読めたハードカバーでした。
重たい内容を、軽快な文章で語ってくれるの。2時間くらいで読めたよ。
(詳しいあらすじはアマゾンで)
以下、ネタバレを含んだ まとまりのない感想です。
主人公は、「完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、
私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。」と言ってますが、私は主人公は2つの点で幸せだと思いました。1つは、自分をそういう風にしてくれる世界を見つけられたこと。社会では自分らしくいられる場所(仕事)を見つけること自体がかなり難しいもの。みんなやりたくない仕事をして、金を稼いで、生活してる、そして「普通」の面をかぶっている。そんな人の方がずっとずっと多いと思いますよ。
2つめは、主人公は「自分が”普通”じゃない」と気づき自覚していることです。だから大勢の普通、に同調することができる。これは主人公のおおきな処世術だと思います。普通だと気付かなくって、合わせられなくて、傷つき苦しんでる人もたくさんいますから・・・。
ラストは、とてもスッキリしてよかったです。主人公は自分のあるべき自分に気付き、自分らしく生きることを選択したからです。
とても読みやすいので、私はお勧めします。
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本を読み進めながら、私は主人公に感情移入しつつも、主人公の冷静沈着な心に強く感心しました。自分が”世間一般の普通”じゃないことを認識している、でもそれに関して悲観したりせず、自分が世界の部品になれるよう、上手く生きている。主人公は頭がよく器用だと思います。他人に依存しないし。もっと優しい人が主人公のそばにいたら、きっと違っていたでしょうね。主人公の周りには、世間一般の常識をふりかざして、ずかずかと心に入り込んでくる、無神経すぎる人たちばかりなんですもの。(彼らはそれを「貴方のためを思っているのよ」と偽善ぶって言う。反吐が出る!)
私は主人公のように器用にはなれず、「ああ、私は”世間一般の普通”とずれてるんだな」と分かった時点で ひどく悲観します(だいたいの人はそうなんじゃあないか?)。
世界の部品にもうまくなれず、かといって自分の中にある異端・常識(世間から見たら非常識)も自覚できず。苦しい苦しいって嘆きもがいてるだけなの。何者にもなれない私は、世間(世界)から本当に必要とされないんじゃないか、って夜な夜な何度泣いたでしょうか(そういう夜、一度や二度はあるよね??)。
その孤独感や悲壮感を埋めるために、食い物に走ったり恋愛に走ったり買い物で発散したり色々やる。でも心は結局自分のところに帰ってきて、またおんなじことでもがくんです。
主人公みたいに、「世界の部品になれる」場所を見つけることができたら、すっごく幸せだと思います。
いじょ